人工知能(AI)の基礎となる脳について、多くの議論が交わされています。人間の思考を模したアルゴリズムと機械の開発には、科学技術と道徳のバランスが必要です。
人工知能(AI)の運用が着実に広がりを見せる一方で、この分野での個人データ保護が最も重要な課題になっています。プライバシー、責任、データセキュリティなど、官民に共通して倫理的側面が注目されています。
2021年2月に ISMSフォーラム データ プライバシー インスティテュート(DPI)が発行した国際情報セキュリティコミュニティに関する報告によると、ここ数年にわたり他社が支払った高額な賠償金を見て、企業のデータ保護担当者の78%以上が、プライバシーモデルを見直したとあります。
このように、データの匿名化 は、もはや公的機関だけの問題ではなく、一般データ保護規則(GDPR)を遵守し、そのデータを正しく活用したいと考えている全ての企業にとっての課題となっています。
データの匿名化とは?
匿名化技術は、組織が利用・保管する機密データなどの増加に対応するために、生まれました。最新の匿名化技術は、自然言語処理(NLP)の分野に見られ、ルールや辞書を使っての微調整により、個人情報とみなされる任意の用語の検出を行います。
この技術により、個人を特定できないデータセットを生成します。こうやって処理されたデータセットは、もはや個人情報とはみなされないため、法律上、新たな同意を必要とせずに利用・開示することができます。
個人を特定する内容をデータから削除し、企業は「ビッグデータ」を安心して利用・分析することができます。万一、情報漏洩やハッキングがあっても、プライバシーや守秘義務の観点からしても、そのデータには個人を特定する情報は含まれず、リスクを回避することができます。
データ匿名化の最新ツールの登場
個人や企業のプライベートな活動を保護するデータ匿名化ツールの出現により、収集、処理、および交換されたデータの信頼性を維持することができます。
従来の非識別化手法が限界につきあたり、幅広い分野や領域の構造化データ・非構造化データで、効果的な結果を得る最新のプライバシー強化テクノロジー(PET)に期待が集まっています。
匿名化には複数の手法がありますが、いずれも固有名詞の分類と、マスキング(社会保障番号、電話番号、電子メールアドレス、クレジットカードなど)の補助的な手法に基づいています。
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データの匿名化と仮名化
データの仮名化と匿名化の技術は、さまざまな形式のデータから、個人に属するデータの識別可能性を、あらかじめ設定されたリスク閾値を超えないレベルにまで低減することを目指しています。
1. 仮名化と匿名化の違い
仮名化は、「AB」の識別子を「CD」の識別子に置き換えるなど、プライベートな識別子を別の識別子や仮名に置き換える非識別化データツールです。統計精度とデータの機密性を維持したまま、変更されたデータを作成、学習、テスト、分析に使用することができます。
この方法では、個人データと個人のアイデンティティとの結びつきを弱めているだけで、匿名化の厳密な形ではありません。また一方で、匿名データでないことから、データ保護規制が適用される可能性があります。
したがって、仮名化では識別チェーンが切れることはありません。つまり、データが分離されたとしても、再識別が可能であるということです。匿名化技術では、処理された文書を読むことができますが、個人情報の追跡ができなくなるという大きな利点があります。
2. データ マスキング
文字マスキングとも呼びます。修正値のあるデータを公開することを意味します。データの匿名化では、データベースのミラーイメージを作成し、文字のシャッフル、暗号化、用語や文字の置換などの変更方式を実施します。例えば、文字を「 . 」や「 x 」などの記号で置き換えることができます。
この技術は、識別やリバースエンジニアリングを非常に困難にするため、一般的には請求書作成に用いられます。例えば、クレジットカードの情報(アカウント番号やCVV等)のマスキングがあります。
3. データ スワッピング
パーミュテーションとシャッフリングとして知られています。データセットの属性値を調整し、オリジナルの情報とは一致しないものの、存在するように並べ替えるものです。生年月日などの認識可能な値の情報は、属性(列)を切り替えると、オリジナルのレコードを尊重しつつ、匿名化に大きな影響を与える可能性があります。
この方法は簡単に元に戻せるため、各レコードに含まれる情報の関係性に基づいてデータを評価する必要がない場合にのみ有効です。
4. 合成データ
他のデータ匿名化技術とは異なり、合成データセットは修正データではなく、実際のデータの複合型イミテーションバージョンで構成されています。合成データセットには、データ属性間のフォーマットや関係などの実際のデータとの類似点があります。
合成データは、実際のケースとは無関係にアルゴリズムで生成された情報です。このデータは、元のデータセットを修正または利用することで、プライバシーや保護を損なわずに、統計的手法に基づいて人工的なデータセットを構築するために使われます。
5. データ置換
その名の通り、ユーザーはデータベース列のコンテンツの入れ替えを、あらかじめ用意された偽の類似データのリストのランダム値に置き換え、認識可能な個人にたどり着けなくします。
この技術には、元の情報をそのまま残し完全性を保つことが出来る利点があります。しかし、この方法をうまく活用するには、匿名化しようとするデータ量と同等以上のデータ量のリストをユーザーが持っている必要があります。
6. データのぼかし
データのぼかしは、公開されたデータの精度を下げることで、識別の可能性を最小限に抑える一般化と非常によく似た方法です。言葉どおり、ぼかしはオリジナルの識別子ではなく、データの値の近似値を使用しているため、確実に個人を特定しにくいようにします。
これを実現するには、多くの場合レンジ(具体的な値を示さない)を使用し、ドキュメントから明らかな事実を排除します。
7. データの暗号化
データ暗号化技術は、個人情報を全く別の形式に変換またはコードに変換します。これで、機密情報の読み取りができない形式のデータに置き換わります。承認されたユーザーは、元の形式でデータを取得することを可能にする秘密キーまたはパスワードにアクセスすることができます。
主にクラウドに保存されている情報に使用され、リモートロケーション、アウトソーシング、およびライセンスを保護できます。また、サービスプロバイダーがお客様のデータにアクセスしたり、不用意に公開したりすることを防ぎます。
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なぜデータを匿名化しなければならないのか?
データの匿名化には、お客様のビジネスがどのような業種であったとしても広範囲の利点があります。
医療研究から医療の強化、ソフトウェア開発、ビジネスパフォーマンスに至るまで、匿名化されたデータは、近い将来に唯一の解決策として、世界中の企業に大きな優位性をもたらします。
- ビジネスを守るためにデータの誤用や悪用のリスクによる信頼性の低下、ひいては市場シェアの低下を防ぐことができます。
- デジタルトランスフォーメーションの促進新しい市場価値を生み出すために使用される保護されたデータを提供します。
- データガバナンスの強化外部からの影響を受けないバリアとしての機能と、部外者からプライバシーを保護します。
- 規制法への対応GDPRを含む、倫理的なデータ操作と転送を確保することができます。
Pangeanic: データ匿名化のパートナー
匿名化に対処するための普遍的な方法はありませんが、ニューラルモデルに基づいたミックステクニックとカスタマイズ可能な匿名化プロファイルは常に特定の組織にとってのベストソリューションです。
現在利用可能な幅広い技術を考える上で、再識別または機密情報の漏洩に伴うリスクの度合いと、データの使用目的とのバランスを追求することを強く推奨します。
Pangeanicでは、匿名化と仮名化の手法を組み合わせて、お客様の個々のニーズに合わせたソリューションを提供します。あなたのビジネスに最適なものはどれでしょうか?お気軽にお問い合わせください!